2015年11月5日

郡の紋章


Coats of arms of counties

町や村の上には郡がある。郡の上には県がある。
市町村と都道府県はそれぞれ紋章を持っているが、
日本の郡には紋章がない。

ドイツなどでは郡にも紋章がある(上図)。
ドイツの郡には役所があるからで、
日本の郡はそうでなく、ただ境界線があるだけだからだ。

 しかし昔は日本の郡にも役所があった。大正15年に廃止された。
よってそれ以前には、日本の郡にも紋章があったのではないかと
思って探してみたところ、果たしていくつか見つかったのである
(上図)。

1 島根県那賀郡、紋章が確実に制定されている例。
大正8年『那賀郡共進会展覧会誌』に制定の詳細が記録されている。
2 岡山県苫田郡、郡勢要覧の表紙に紋章が描かれていた。
3 佐賀県藤津郡も上に同じ。
4 東京府南多摩郡、大正12年『南多摩郡史』の口絵、
写真中の人物が着ている揃いの法被の背中に染め抜かれていた。
5 大分県下毛郡、昭和2年『下毛郡誌』の背に描かれていた。
6 徳島県名西郡、大正13年『名西郡会誌』に収録されている
地図の四隅に描かれていた。

1以外は正式なものかどうか不明ではあるが、
いずれにせよ郡役所のある時分には
日本の郡にもなにがしか紋章があって、
郡制廃止に伴って消えたということ。