2015年10月30日

山梨県旗と藤村式建築


Flag of Yamanashi prefecture (1873)

国会図書館の電子図書館で
明治初年の教科書を見ていたところ
山梨県で出版されたものの表紙になにやら
旗の図案が描かれてあるのを見つけた。

描かれてあるのは明治6年12月の『習字三才文』から
明治10年4月の『小学人体略解』までの十数点で、
明治10年6月の『小学綴字書』以降は姿を消した。
赤い背景に白く富士山を描いている。

明治6年から10年と言えば、藤村式建築で名高い
藤村紫朗氏が山梨県令だったころだ。
全国でもいち早く小学校教育を押し広め、校舎を擬洋風で建てた。
これを藤村式建築という(上図)

そんな洋風の学校であるからして、
教科書の表紙を飾るのも洋風の旗だ。
この旗が制定された県旗かどうかはわからないが、
藤村県令の肝いりだとすれば非常に面白い。

なお県旗として
いち早く確認できるのは京都府のものだ(上図)
明治5年の『内外国旗諳誦表』に掲載されている。
モノクロ複写なので色はわからないが
アメリカの旗章学専門サイト(FOTW)カラー図版がある。

これらの明治の旗はいつしか忘れられ
山梨県旗は1966年、京都府旗は1976年に
それぞれ改めて制定されている。