2016年6月1日

タイトルについて


Esperanto

本ブログのタイトルはデセグノ・ウヌエというのだが
これは人工言語エスペラントの語彙から採っている。


理由は2つある。
ひとつは2008年頃、オークションで見かけた古いバッジに「EDUKADO UNUE」とエス文が書いてあったのが印象深かったことによる。これは同じものを最近入手することができた(上図)。当時抱き合わせで出品されていたラインナップからすると、憶測だが大正末から昭和一桁の作かと思う。※未確定だが、1922年の「学制頒布50年」イベントにかかわるものかもしれない。2018.04.26追記

edukadoは名詞で「教育」、unueは副詞で「第一に」という意味。edukado unueが文法として如何かは怪しい気もするが、ウラに漢字で「教育第一」と銘があるのでこれを逐語訳したものだろう。なお銘の下に「P.E.L.」と発行者のイニシャルが添えてあるが詳細はわからない。

またもうひとつの理由は、わが出身校多摩美術大学が草創期に出していた機関誌が「デセグノ」という題だったことによる。desegnoはエスペラントで「デザイン」の意味。しかしdesegnoにはもうひとつ、語源よろしく「描写」の意味もあるようだ。エスペラント版ウィキペディアを見ると現在「デザイン」にはdezajnoという新語(英語からの借用語)があてられていたりするので、私はどちらかといえば「描写」の意味で認識している。


エスペラントは、どうやら大正から昭和10年代にかけて隆盛があったようだ。国立国会図書館デジタルライブラリーにも教本類が数多く収録されており、一番早いのは1906年のものだが、1922年頃から数が多くなっている。ラジオ講座もあったという。

そういうわけで商品名や題名にエスペラントの語句が飾られることが多かったのだろう。1935年に売り出された「ヤクルト」はjahurtoヨーグルトのもじりだというし、今和次郎氏が1930年に出した『考現学』も「MODERNOLOGIO」とエス語風の一名がついている。上に掲げたのは岡山に今もある禁酒会館のサイダーのラベルで「ABSTINENCO」はエスペラントかと思われる。英語だとabstinence、「禁酒」「節制」という意味。


そういうわけで、当時学部生だった私は、多摩美らしさと自分の趣味(古いバッジ収集)の両方を表現しようと思い、edukado unueとデセグノを足して、ブログタイトルはdesegno unueとした。
意味は「描写/第一に」というほどである。

2018.04.26 一部改稿