2012年2月12日

収集物紹介

近所の神社で毎月1、2回骨董市をやるのだが、古銭を扱う業者さんが毎度箱一杯に外国の硬貨をあけて1枚100円で売っている。古銭収集家の方々に混じってそれを混ぜ返し混ぜ返しすると、以下のようなものを探し当てることができた。
戦間期のドイツ、ワイマール共和国の1925年銘10ライヒスペニヒアルミ銅貨。関係はないだろうが発行年はバウハウスの活躍した時期と重なる。DINの先祖のようなすっきりしたサンセリフを使い、具象でありつつも構成主義みたような表現をするなど、古い様式から脱皮している優れた意匠だ!しかしご存知の通り1933年にはナチスが台頭し始め、1936年には貨幣もハーケンクロイツにフラクトゥールというきな臭い図案にされてしまった。
ヴィシー政権下のフランス、1フランアルミ貨。ナチス・ドイツのフランス侵攻によって出来た政権であり、国の標語も労働・家族・祖国と変えられ、ウラ面にも戦でつかう斧が描かれるなどかなりファシズム式の図案になってしまった。しかし低額貨幣でもなしにアルミ貨幣というのは、いかにも経済が疲弊した感じがするなあ。
対して仏領カメルーンの1943年銘50サンチーム銅貨。カメルーンは自由フランスの拠点となったところで、ロレーヌ十字の上には元の通り自由・平等・博愛という標語、ウラ面にはフランスの象徴ニワトリが描かれており、自身こそ正統なのだと主張する感じがして力強い。
最後はオランダ領東インドの1945年銘1セント銅貨。現在のインドネシアであり、かの東インド会社が入植した17世紀の頭から350年間続いた植民地だったが、1942年の日本軍の「蘭印作戦」により幕引きとなった。ウラ面は外側がブラーフミー文字の系譜を引くジャワ文字、内側がおそらくアラビア文字の系譜を引くジャウィ文字で何か書かれている。

このように興味深いものがまだまだ色々あった。真贋も価値も分からないが面白いからよい。どのような経緯でこれらが相模の片田舎にやってきたのか。