2017年1月1日

あけましておめでとうございます


Happy New Year

信州諏訪

昨春に訪ねた長野県諏訪地方の土蔵。諏訪には驚くほど土蔵が多い。妻面、丸く出張った部分は当地で「丑鼻」うしばなという。これには家紋や家名、水や龍などの草書一字(火伏せだ)、ほか縁起の良い図案を鏝絵で描いたりする。腰にはなまこ壁を造るのも多い。絢爛さを競うかのようだ。それもそのはず、ここにはかつて伊豆の長八の孫弟子にあたる方がいたのである。小川天香氏といい、茅野駅前に記念館が建っている。

しかしここでは絢爛なものでなく、荒壁のままの古そうな土蔵を選んで描いた。窓回りなどは諏訪一帯に共通する造形だが、問題は丑鼻、「*」のようなマークがでかでかと刻まれているのが謎だ。離れた場所でも同じ例を見たので特定の家紋家印というわけではないと思う。単に火伏せの「水」字を簡略化したものか、それともいつか鏝絵を描く時のための見当か、あるいは壁を荒壁のままにする場合のジンクスだったりするのか?


という昨年最大の土蔵ミステリーを年賀状に託した。